力を蓄えて
宮澤章二
世俗の慣用語には いい加減(かげん)なものがある
成績の良い子を〈出来る子〉と呼び
成績の悪い子を〈出来ない子〉と呼ぶが
なにが〈出来る〉で 何が〈出来ない〉のか
素直な態度で 一心に学ぶことの出来る子
それが〈出来る子〉の代表ではないのか
心をこめて学ぶことの出来ない子こそ
本当に〈出来ない子〉といってよいだろう
春の風を待ちかねて野の花が開き始める
どの花も〈どうでもいいや〉などと思わず
咲く力を一心に蓄えるから 咲けるのだ
野の花たちの呼びかける声が 聞こえる
―― 咲く時には 咲くことに命を懸けよう
必ず 広野(ひろの)の光が助けてくれるよ
宮澤章二(1919~2005)
埼玉県羽生市出身のさいたまを代表する詩人。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E6%BE%A4%E7%AB%A0%E4%BA%8C
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