「神殿」 宮澤章二詩集【空存】より
「神殿」
なぜ 巨大な神殿を造ったのか
―――― 神が見えないからだ
神の見えない人間にとって
神を呼びだす声は 祈りは
ことさら大きくなければならない
なぜ 神殿に神を祭ったのか
―――― 神がどこにもいないからだ
いないものを 呼び
いないものに ひざまずく・・・・・・・
<無>の中にこそ人間の救いがあったのだ
昭和41~43年 作品より
・・・・章二先生が50歳を目前に作られた詩の集大成
「空存」の中の一編です。
丁度同年代の自分。妙に納得できるんですよね。
「闇」を感じます。
そして「無」の感覚・・・
ニュアンスまでが自分なりに想像できます。
そんな年代だと思うんです、虚無感や、絶望感・・・・
だからこそ、
少し健気な時じゃないと読み進めることができません。
先生の詩は、ずしっとくるんです。
そのずしっとした重みが、心にしみ込んで、
先生への尊敬の念になるのです。