さざなみのキヲク~宮澤章二先生の詩~

宮澤章二先生の詩をご紹介します

宮澤章二 昭和40年「首都高速」より「変貌について」




こんばんは。


久しぶりに宮澤章二先生の詩を。


宮澤章二先生は、東日本大震災の直後からテレビで流れた


ACジャパンのCMの詩「行為の意味」が大変有名です。


本質を見抜く鋭い観察眼と真実を突く簡潔でわかりやすい言葉は


胸を打ちます。先生はまさに古き良き日本人だと思います。






道のファンタジー①


「変貌について」




ある夜突然、路上の流れが変わった



つっぱしるのは



ふっとばすのは



ぼくらの同類であるかも知れなかった



とにかく 歩行の習性を失った連中が



両足の退化した生物が



男も女も ハンドルにしがみつき



どこへ行くともなく



時速百キロの葬列を作り



誰に告げることもなく



<アーメン>と つぶやき



月光の中へ つぎつぎに消え去った



それ以来 道だけが残っている



道だけが むなしく待っている



キリンでもいい クマでもいい



足で歩いてくれる動物の再来を・・・・・



(昭和40年発行 「首都高速」の巻頭の詩より)






・・先生らしいな。と思う社会への問いかけ。


でも先生ったら、この詩を、高速道路公団の機関誌で発表するなんて。


高速道路の発展を賛美するのではなく、このような詩。


依頼した公団の方は、どう思われたでしょうか。笑。


でも、大変ごもっとご意見の詩です。


発展の裏には、破壊があり退化もあって、得るものと失われるものがある・・・・・。




宮澤章二先生


埼玉県羽生市出身。


東京府立高等学校、東京大学文学部美学科卒業。


埼玉県立不動岡高等学校の教諭時代に、疎開で加須市に住んでいた作曲家の


下総皖一と出会ったことから、詩人・作詞家として活動を開始。


主な著作は「蓮華」「空存」「枯野」「風魂歌」等多数。


校歌や合唱曲、童謡などの作詞を多数手がけた。


特に校歌は埼玉県内を中心に300校以上にのぼる。


クリスマスソング『ジングルベル』の訳詞者としても知られる。


日本童謡賞、赤い鳥文学賞特別賞、埼玉県文化賞、埼玉県文化功労賞知事表彰などを受賞。


大宮市教育委員長も務めた。


詩『行為の意味』の一節、「思いは見えないけれど、思いやりは見える」が、


ACジャパンの2010年度キャンペーンCMに使用された。


平成17年3月11日逝去。






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