さざなみのキヲク~宮澤章二先生の詩~

宮澤章二先生の詩をご紹介します

クリスマスにちなんだお話2つ



クリスマスに因んだお話です。


2編あります。


ほんわかしていただければ幸いです。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇






「クリスマスの鐘の音」



原作 : R.M.オールデン



イザク  「お兄ちゃん、僕もあの町へ行ってみたいな」


ペドロ  「そうか。お前もお兄ちゃんと一緒に町まで薪を売りに行くか」


イザク  「わあい!嬉しいな!!」


ペドロとイザクはふたりで山に住んでいました。
お兄さんのペドロが山で薪を集めて、それを売って暮らしていたのです。


次の日、ふたりは町へ出かけました。


ペドロ  「ほら、立派な教会だろ!クリスマスにはここに大勢の人が集まって、
     イエスさまに誕生日の贈り物をするんだよ。そして、誰かが
     本当に素晴らしい贈り物をしたとき、あの塔の鐘が鳴るんだって」


イザク  「へーぇ、どんな音がするの?」


ペドロ  「それがね、あの鐘はもう何年も鳴ってないんだ」


イザク  「ふーん・・・。僕、一度聞いてみたいな。ねっ、お兄ちゃん、
      今年のクリスマスにここへ来てみようよ!」


ペドロ  「うん、そうだね!そうしよう!」


この日からふたりは、クリスマスが来るのを楽しみに待ちました。


やがて冬になりました。


イザク  「みてみて、雪が降ってきたよ、もうすぐクリスマスだね! 
     イエス様に何を持っていくの?」


ペドロ  「うん、そうだなあ・・・・・・。」


ペドロは狭い山小屋を見回して、考えました。


ペドロ  「うちにはいいものなんてないからなあ・・・・・。持っていけるのは薪だけだ・・・・・。」


イザク  「それでいいよ。だってお兄ちゃんが一生懸命集めた薪だもの」


ペドロ  「うん、そうだね。素晴らしい贈り物はお金持ちに任せておこう。
     きっと、僕たちが見たこともないようなステキなものが見られるよ」


イザク  「お兄ちゃん、早く早く!」


ペドロ  「あはは、イザク、そんなに慌てると転んじゃうぞ」



クリスマスの日、ふたりはうきうきして、教会へ出かけました。


ようやく町のそばまで来たときです。道端に誰かが倒れていました。


ペドロ  「しっかりして!大丈夫ですか?」


駆け寄ってみると、女の人でした。


ペドロ  「おばさん!おばさん!」


いくら呼んでも、女の人はぐったりして、目をつぶったままです。



ペドロ  「どうしよう?ほかに誰も通らないし、僕たちだけじゃおばさんを運べないし・・・・・」


ペドロはしばらく考えてから、決心したように言いました。


ペドロ  「うん。ここで焚き火をたいて、からだをあっためてあげよう」


イザク  「お兄ちゃん、薪を使っちゃうの?!」


ペドロ  「ああ、仕方ないよ。このままじゃ凍えてしまうもの・・・・・・・」


ペドロは焚き火をたきながら、イザクに言いました。


ペドロ  「お前は教会へお行き」


イザク  「えっ、お兄ちゃんは行かないの?」


ペドロ  「だって誰かがそばにいてあげなけりゃ・・・・。
      だけど、残るのは僕一人でいい。お前は兄ちゃんの分も
      イエス様の誕生日をお祝いして来ておくれ」


ペドロは自分も行きたい気持ちをぐっと堪えました。


ペドロ  「さあ、イザク。早くお行き」


イザク  「わかったよ、お兄ちゃん・・・・・」


その頃、教会ではもううお祝いが始まって、


大勢の人がイエス様に贈り物をささげていました。



お百姓さん 「これは私の農場で一番大きな七面鳥の丸焼きです。
        どうです、見事なものでしょう!!」


一人のお百姓さんが、得意そうに言いました。


そして、塔の鐘が鳴り出さないかと耳を澄ましました。



ヒューーー、ヒューーーー



聞えたのは、外で吹いている冷たい北風の音だけでした。



男の人 「なんのなんの。わしは金貨を百枚差し上げます」


女の人 「あーら、あたくしは美しい宝石を差し上げますわ」


お金持ちの男の人と女の人が、競争で言い合いました。


そして、耳を澄ましましたが、聞えたのは、やっぱり風の音だけ。



最後に王様が、人々の前へ進み出ました。


王様  「この国で一番素晴らしいものといえば、私の冠に違いない。
     イエス様、どうぞこれをお受け取り下さい」


ところが、それでも鐘は鳴りませんでした。




女の人 「あの鐘は、錆びついてしまったのかしら?」


男の人 「そうだ、そうだ。誰がどんな贈り物をしたって鳴りゃしないんだ」



人々は、こんなことを言って帰って行きました。


そこへ、やっとイザクがやってきました。


イザクは、心を込めてお祈りをしました。



イザク  「イエスさま、贈り物は何も持ってこなかったけれど、
      お誕生日おめでとうございます。ほんとは、
      お兄ちゃんもお祝いに来たかったんです。
      だからお兄ちゃんの分もおめでとうございます」


そのときです。



ディーーン ドーーン



ディーーン ドーーン



ディーーン ドーーン



男の人 「おお、鐘が鳴ったぞ!」


女の人 「まあ、ほんと!」


帰りかけていた人達は、びっくりして塔を見上げました。


鐘の音は、町の外までも響き渡りました。


ペドロ  「教会の鐘だ!」


とペドロが言うと、


女の人 「なんて素敵な音色でしょう」


ようやく元気になった女の人も、うっとりと言いました。


ペドロ  「誰がどんな素晴らしい贈り物をしたのかなあ?」


そうつぶやいて、ペドロは耳を澄ましました。




ディーーン ドーーン



ディーーン ドーーン



鐘は、その夜遅くまで静かになり続けるのでした。



   <終> 







私の好きな詩人宮澤章二先生が執筆されたクリスマスに
ちなんだお話です。


(子供向け絵本「ひかりのくに」昭和45年12月号に掲載されました。)




~~ こいぬのクリスマス ~~


作 : 宮澤 章二




 クリスマスの ばん でした。


 ゆきの ふる のはらを、 いっぴきの こいぬが


あるいていました。 まいごの こいぬ でした。


「あっ、 あそこに おうちが みえる


まどの あかりが あったかそうだな。


よし、ぼくも あの おうちへ いこう。」



 さむさに ふるえて いた こいぬは、


げんきを だして はしりました。




 まどから おうちの なかを のぞくと、


みんなが おいしそうに ケーキを たべています。


レコードからは クリスマスの うたが


ながれ、あかるい へやは


ちいさな てんごくの ようです。



「くんくん、くんくん、くーん ・・・・・・・・」


と、 こいぬは せのびを して なきました。




 でも、 だれにも きこえません。


「ぼくには、 サンタクロースの おじいさんなんか いないんだ。


しかたがないや。 だって、ぼくは のらいぬだもの」



 そう おもって、 まいごの こいぬは あるきだしました。


 また いっけんの おうちが ありました。


せのびを して、 まどから のぞくと、


びょうきの おんなのこが、 めを つぶって ねています。



「くんくん、くんくん、くーん ・・・・・・。」


と、 こいぬは ないてみました。 すると


おんなの こは、 きゅうに めを あけました。


「あら、 そとで こいぬが ないて いる。


かわいそうね、 おかあさん いれてあげて!」



 おかあさんは、 まどを あけました。


「ほんと、 かわいい こいぬが いるわ。


きっと、 サンタクロースが つれてきたのね。」




~ 終わり ~




「ひかりのくに」 昭和45年12月1日発行




画像付きの同じ記事が4つ前のブログにもありますので
合わせてご覧ください☆彡













゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆



さて、次は章二先生が詞をつけられたジングルベルの歌。


記念切手にもなっています。



~~ 「ジングルベル」 ~~


作詞 : アメリカ民謡/ 宮澤章二
作曲 : James S. Pierpont



走れそりよ 風のように 雪の中を 軽く早く


笑い声を 雪にまけば明るいひかりの 花になるよ


ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る


鈴のリズムに ひかりの輪が舞う


ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る


森に林に 響きながら



走れそりよ 丘の上は雪も白く 風も白く


歌う声は 飛んで行くよ輝きはじめた 星の空へ


ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る


鈴のリズムに ひかりの輪が舞う


ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る


森に林に 響きながら






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