「茂る夏」
宮澤章二先生。
戦後の昭和~平成前半に活躍した詩人です。
東日本大震災のとき流れた、ACJAPANのCMでその詩が
有名になりました。
終戦時は既に既婚、疎開、仲間の爆死も体験しました。
戦後は、作詞家としてNHKのラジオ歌謡の作詞、
「ジングルベル」の作詞、日本全国の校歌を300校以上作詞、・・・・・
言葉を大切になさった先生。
今日は先生の未発表の詩を紹介させていただきます。
茂 る 夏
野山の 森も 雑木林も
青葉たちが急に茂り合うのではなかった
一本一本の樹木の
一枚一枚の葉っぱが
一日一日 ほんの少しずつ伸びつづけ
気づいたときには 森も林も
暗いほどに うっそうと茂っている
春といい夏といい 秋といい 冬といい
季節に 無駄な日は一日もない
充実した昼と夜が地球上に満ちている
――― そのことを 私たちは自然から学ぶ
草木のすべてが力いっぱい繁茂する夏
自分もまた確実に育っていえることに
君は ある朝 気づかないか・・・・・